糖尿病に合併する認知症を簡単に予測できる血液のバイオマーカーとして、sTREM2の重要性を世界で初めて明らかにしました
国立病院機構京都医療センター臨床研究センター内分泌代謝高血圧研究部・浅原哲子部長は、同・山陰一主任研究員、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構・徳田隆彦医長、京都認知症総合センター・秋口一郎所長、及び健康科学大学・田中将志教授を中心とする研究チームと共同で、認知症外来通院患者(糖尿病患者・非糖尿病患者)を対象に、認知症(アルツハイマー型及び血管型認知症)に関連する血液バイオマーカーと認知機能との関連を検討しました。その結果、糖尿病の認知症発症を早期に反映する指標は、血液中のsTREM2というタンパク質の減少である可能性を、世界で初めて明らかにしました。
この成果より、血液中のsTREM2濃度が低下した糖尿病患者は、認知症発症のリスクが上昇している可能性があることから、そうした患者を対象に予防的介入を行うことで、認知症リスク低減に寄与できる可能性が期待されます。本研究論文は、糖尿病専門誌Diabetes Research and Clinical Practice誌のオンライン版に掲載されました(日本時間2022年10月19日)。
【論文情報】
タイトル: Soluble TREM2 and Alzheimer-related biomarker trajectories in the blood of patients with diabetes based on their cognitive status
掲載雑誌(糖尿病専門誌): Diabetes Research and Clinical Practice, https://www.diabetesresearchclinicalpractice.com/
掲載論文:
https://www.diabetesresearchclinicalpractice.com/article/S0168-8227(22)00935-4/fulltext