肥満症の心血管疾患発症における血清尿酸値の新たな意義の解明!
― 血清尿酸値を標的とした心血管疾患発症リスク低減のための新規戦略開発へ ―
国立病院機構京都医療センター臨床研究センター内分泌代謝高血圧研究部・浅原哲子部長、同・若林大研究員は、健康科学大学リハビリテーション学科・田中将志教授、奈良県立医科大学大学院医学研究科・笠原正登教授を中心とする研究チーム(JOMS Group)と共同で、国立病院機構肥満症多施設共同研究(NHO-JOMS)の全国多施設共同コホートを基盤とする肥満症患者を対象に、5年間の追跡により、心筋梗塞や脳卒中等の心血管疾患(CVD)イベント発症を検討し、登録時の血清尿酸値の影響を検討しました。
その結果、女性の肥満症患者における高尿酸血症は、CVD発症の新たな危険因子であることを初めて明らかにしました。さらに、高尿酸血症のみならず、低尿酸血症も、男女いずれにおいてもCVD発症リスクを上昇させることを見出しました。
これらの成果から、血清尿酸値とCVD発症リスクとの関連が明らかとなり、本研究は肥満症におけるCVD発症リスク低減のための新規予防戦略の構築に繋がることが期待されます。本研究論文は、国際糖尿病連合(International Diabetes Federation: IDF)が刊行する糖尿病専門誌Diabetes Research and Clinical Practice誌のオンライン版に掲載されました(日本時間2023年9月21日)。
【論文情報】
- タイトル:
- Novel Pathological Implications of Serum Uric Acid with Cardiovascular Disease Risk in Obesity
- 掲載雑誌(糖尿病専門誌):
- Diabetes Research and Clinical Practice, https://www.diabetesresearchclinicalpractice.com/
- 掲載論文:
- https://www.diabetesresearchclinicalpractice.com/article/S0168-8227(23)00682-4/fulltext#articleInformation