京都医療センター

放射線診断科

各種検査のご紹介

CT検査

CT検査とはガントリと呼ばれる筒の中でX線管とX線の検出器を回転させ、中心部の空間を通過した被写体にX線を照射し、得られた膨大なデータを演算することにより、連続的な断面像を得る検査です。10秒程度で全身を1mm以下の薄い間隔で撮影することが可能で、それらを利用した三次元画像作成も可能であることから非常に有用です。

Philips社製Brilliance iCT(256slice MDCT)

Philips社製Ingenuity(64 slice MDCT)

頚部血管MIP画像

胸部MIP画像

心臓3DCTA画像と冠動脈MIP画像

腹部大動脈~下肢3DCTA画像とMIP画像

一方、CT検査には被ばくの問題があり、その低減が課題となっております。
当センターのPhilips社製Brilliance iCT(256slice MDCT)とIngenuity(64 slice MDCT)は、被ばくを減らして画質を向上させることが可能であり、従来より20%以上の被ばく低減を達成しております。

Philips社製Brilliance iCTを用いた、心臓(Coronary)CT検査は、心拍数100を超える高心拍の方に対しても、心拍・血圧を低下させるβブロッカーを使うことなく実施することが可能です。

MR検査 Magnetic Resonance(磁気共鳴)

SIEMENS社製3TMR装置

SIEMENS社製 3T MR装置

身体の各組織に分布している水素の原子核がもっている磁気の共鳴現象を利用します。 もう少し説明を加えますと、高い磁場環境におかれた人体に、水素原子核が共鳴する電磁波をあて、その後に人体から出てくる電磁波を検出器で捉え、コンピュータで計算し画像を作ります。CT画像とよく似ていますが、原理が全く違うために得られる画像は似て否なるものです。MRは脳や脊椎の病変の診断に優れています。検査は、大きな筒の中に入って、15分間~数十分で終わります。大きな音がしますがヘッドホンをつけていただきます。 当院では3T 2台、1.5T 1台が稼働しており、多くの皆様に診断価値の高い画像を提供出来るよう励んでおります。

頭部MRI

頭部MRI

頭部MRA

頭部MRA

MR neurography

MR neurography

肩関節MRI

肩関節MRI

心臓MRI

心臓MRI

MRCP

MRCP

手関節MRI

手関節MRI

手部MRI

手部MRI

アイソトープ(核医学)検査

アイソトープ検査とは

放射性同位元素を含む医薬品(微量のガンマ線(SPECT検査)または放射線(PET検査)を放出する薬品)を静脈注射またはカプセルタイプの錠剤を飲むことにより、特定の臓器又は組織に取り込まれた放射性医薬品からでる放射線を専用のカメラ(SPECT装置とPET装置)で捉え、コンピュータ処理をすることにより画像を作成します。目的に応じて様々ですが、体内から出てくる放射線の強さや時間的な変化、分布の様子を調べて、各臓器の形の変化と動きを知るために行います。放射性医薬品の分布状態を観察することにより、全身のブドウ糖の代謝(PET検査)や甲状腺、腎臓等の臓器の異常や全身の骨の状態、脳の血流や心臓の筋肉の血流状態(SPECT検査)について詳しい情報を得ることができます。

ガンマカメラ(SPECT/CT装置)

ガンマカメラ(SPECT-CT)GE社製

ガンマカメラ(SPECT-CT)GE社製

SPECT画像とCT画像の融合画像

SPECT画像とCT画像の融合画像

当センターでは、2012年4月に新しいガンマカメラ(Infinia3 Hawkeye4 GE社製)が導入されました。従来のガンマカメラにCT装置を組み合わせ一体型にしたものでSPECT/CT装置と呼ばれています。体内に取り込まれた放射性医薬品が身体の深部にある場合は、そのガンマ線が体内で吸収・減弱されることにより正確な情報としてガンマカメラで捕らえることができない場合があります。その場合、同一部位をCT撮影することにより、ガンマ線の吸収を補正することができ質の高い画像が提供できます。また、ガンマカメラの機能画像(SPECT画像)とCTの形態画像を重ね合わせて表示することもできるので、正常または異常部位の同定が容易になります。
当院の成人に対するアイソトープ検査で被る被ばく線量は頭部の検査で約4~6.5mSv、心臓の検査で1.5~2mSv、骨の検査で2.7~3.5mSv、甲状腺の検査で0.3~2.6mSv、腎臓の検査で2.5~3mSvになります。(※Sv:シーベルト→放射線が生物に及ぼす効果の計量単位)
放射性医薬品の投与量は個人(体重)や依頼目的によって差はありますが、日本核医学会放射線防護委員会で検討された診断参考レベル(DRLs2020)を基に画質と投与量を選定しています。

脳血流シンチ

脳血流シンチ画像

脳血流シンチ画像
(※赤色:血流が多い部位⇔
黄色:血流が少ない部位)

放射性医薬品を静脈注射し、脳に流れる血液の状態(血流が多いか少ないか)を画像化(画像では血流が多い部位が赤色、少ない部位は青色と段階的に色分けを行う事で画像を分かりやすく表示します)し、MRI検査やCT検査ではとらえられない早期の脳血流障害が分かるほか、血流分布から認知症の診断にも使用されます。(認知症にはそれぞれ血流の異常をきたす部位が違うため脳血流画像が役に立ちます)また、脳の血流を数値化(定量化)することにより、外科的な治療(バイパス術や頸部にある血管の狭窄部位の治療)後の血流の回復具合を簡便に検査することが出来ます。 検査時間は安静にしていただく時間も含めて1時間程度かかります。

吸収補正なし

吸収補正あり
(※細部が明瞭に描出されている)

負荷心筋血流シンチ

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割があり、ひと時も休まず動き続ける臓器です。その心臓の筋肉(心筋)を栄養している血管に障害なく、血流が心筋各部位へ正常に流れているかを診る検査が心筋血流シンチです。検査では心臓の血流を増やすお薬を注射したり、フィットネスバイクに乗って運動していただき心臓に負荷がかかった状態(労作時の状態)と安静時(普段の状態)の2つの画像を比較することにより狭心症や心筋梗塞の鑑別を行う事が出来ます。また、検査時に心電図と同期して収集することにより心筋の機能画像も得ることが出来ます。
検査時間は午前中に負荷検査を行い、午後(負荷検査から1.5~2時間後)に安静時の検査を行います。トータルで3~4時間かかります。

骨シンチ

骨に集まる放射性医薬品を静脈注射し、全身の骨を診断する事ができます。例えば、がんの骨転移、外傷等によるX線写真で写らない微小な骨折がわかります。がん転移での治療の前後で検査することで治療の効果などが簡便に調べることが可能です。
検査時間は、放射性医薬品を注射後3~4時間後に30分の検査があります。

全身の骨シンチ画像

全身の骨シンチ画像
(※黒色が強調されている部位が病変部)

PET/CT検査

2014年6月からPET/CT装置を導入し稼働しています。FDG-PET/CT検査で使用するFDGとは、グルコース(ブドウ糖)に目印となる「ポジトロン核種(=陽電子放出核種)」を合成した放射性医薬品です。ポジトロン核種はまわりの電子と反応して放射線に変わる特徴があり、この放射線の出る場所と量が、ブドウ糖を消費する細胞(エネルギーの代謝が多い細胞)の目印となります。この放射線をPETカメラで収集し画像化する検査がFDG-PET検査になります。ブドウ糖の代謝を画像化するために4時間以上の絶食が必要です。絶食中に糖分を含まない水分(例:お茶や無糖のコーヒー等)は飲んでいただいて大丈夫です。また、お薬を注射する前に必ず血糖値の計測を行います。
導入されたPET/CT装置はCT装置が組み込まれているため、同一ベッドでPET検査とCT撮影が行えるので、位置ずれの少ないCT画像とPET画像の重ね合わせた画像(融合画像)が作成できます。これによって小さな病変の位置の同定を行う事が可能です。

当院の成人に対する18F-FDG PET検査の線量は3~7.5mSvになります。基本的に個人の体重から投与量を決定しています(体重×2~5MBq ※Bq:ベクレル→放射能の単位)。体重が軽い方は少なく、体重が重い方は画質が悪くならない最低レベルの投与量を使用しています。また、日本核医学会放射線防護委員会で検討された診断参考レベル(DRLs2020)やがんFDG-PET/CT撮像法ガイドラインを参考にして画質と投与量を選定しています。

血管造影検査・治療(IVR)

Philips社製Allura Xper FD10/10

Philips社製Allura Xper FD20/20

血管造影検査とは一般的にカテーテル検査などとも言われる検査です。通常のX線透視や撮影では血管を描出する事が困難なため、X線に写る造影剤という薬剤を用います。まず、手首や肘,足の付け根などからカテーテルと呼ばれる細い管を血管に挿入し、目的とする血管まで進めてカテーテルより造影剤を注入します。それにより、目的の血管を描出する事ができます。血管造影検査では、このように血管を描出するだけではなく、血管が狭くなり血液の流れが悪くなった部位を、カテーテル先端に風船やステントと呼ばれる金属の筒が装備された特殊なカテーテルを用いて、その風船やステントを膨らませ,血管を拡げる治療(経皮的冠動脈形成術:PCI、経皮的血管形成術:PTA)や消化管出血や外傷による腹腔内出血などの止血(血管塞栓術)を行う治療も行っています。また、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤に対して、コイルと呼ばれるプラチナ製の糸状の金属を用いて動脈瘤を詰める治療(コイル塞栓術)や、癌細胞へ流れる血液(動脈)を塞いだり、抗がん剤などを直接癌細胞へ注入する治療を行っております。当院ではこの様なカテーテルを用いた血管内治療は数多く行われています。
2014年9月に心臓領域用としてPHILIPS社製 Allura Xper FD10/10 、頭部、腹部、大血管領域としてPHILIPS社製 Allura Xper FD20/20の2台の血管撮影装置が導入され、2021年12月ハイブリッド手術室にSiemens社製 ARTIS phenoが導入されました。

脳血管と術中3D画像

脳血管と術中3D画像

ハイブリッド手術室とは手術室とカテーテル室を掛け合わせた手術室の事を指します。
従来手術室で透視を行う際は移動用イメージ装置を用いて透視撮影を行ってきました。
しかし、長時間の透視など行えることには限界がありました。また、カテーテル室で手術を行う事は、部屋の空気の綺麗さやベッドが手術用では無いなどの問題がありました。
そこで、通常の手術で使用する部屋とベッドにカテーテル室でも使用する大型の血管撮影装置を組み合わせたのがハイブリッド手術室となります。
大型の血管撮影装置を使用することにより、長時間の使用はもちろん、手術中のCT撮影や3D撮影も可能になりました。また、ナビゲーションシステムや超音波装置とも連動が可能でより安全でスピーディーな手術が可能となりました。
装置の使用方法についてはより高度な知識を求められるようになったため、研修を行った診療放射線技師が装置の操作や運用を請け負っております。

冠動脈

冠動脈

腹部血管

腹部血管

X線透視検査

名前のとおりX線を用いて身体の中を透視し、造影剤(X線に写る薬剤)などの流れる様子や臓器の動きをTVモニターで観察しながら写真を撮ることができます。また、X線透視を行いながら治療も行います。
当院では高画質、低線量をコンセプトに装置を導入しており、消化管、肝胆膵、泌尿器、整形領域など多様な検査に対応します。

乳房撮影(マンモグラフィ)

マンモグラフィとは、乳がんの早期発見に有効な検査のひとつで、専用の装置を用いて乳房を挟むように圧迫して撮影します。
乳がんの罹患率は急速に増加しており、我が国においては、現在9人に1人が乳がんになると言われています。特に40~50歳代の女性では、がん死亡原因のトップになっています。幸いにも乳がんは早期に発見すれば治癒率が高い疾患です。そのため40歳を過ぎたら、2年に1度、問診とマンモグラフィを受けることが推奨されています。

デジタルマンモグラフィ装置 AMULET Innovality

富士フイルムメディカル株式会社 AMULET Innovality装置を導入し、以前よりも低被ばくで解像度の高い画像が得られるようになりました。また、新たにトモシンセシスという断層撮影もできるようになり、乳腺の重なりによって発見が難しかった病変の診断に役立っています。

当院には、日本乳がん検診精度管理中央機構の認定読影医と女性技師が常勤して対応していますので、安心して検査を受けていただけます。

骨密度検査

骨密度検査とは、骨の中にあるカルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分の量を計測するもので骨粗鬆症の診断等に用いられます。

当院では日本骨粗鬆学会ガイドラインや世界中の骨粗鬆症ガイドラインで基準測定器に定められているX線骨密度測定装置で検査を行っています。

検査は撮影台に仰向けに寝ていただくだけで、痛みもなく短時間で終了いたします。転倒などによる骨折が起こると重症化しやすい腰椎と大腿骨部について、体勢を変えていただく事なく検査が可能です。
被ばく量が極めて少なく、患者さんの負担の少ない検査です。