診療内容
血尿について
『血尿診断ガイドライン2006のポイント』
- はじめに
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『血尿診断ガイドライン2006』は2005年12月をもって日本で使用される尿試験紙潜血反応の規格統一が図られたことを契機に、健康診断などで見出される尿潜血陽性者に対して、医療経済効率を考慮し、且つ健康を守るためにどのように診断を進めていけばよいかを提案することを目的に作成されました。
血尿診断ガイドライン検討委員会: 日本泌尿器科学会、日本腎臓学会、日本小児腎臓病学会、日本臨床衛生検査技師会、厚生労働省:小児難治性腎尿管疾患の早期発見、診断、治療・管理に関する研究班 - 血尿診断ガイドライン 目次
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- 血尿の定義とスクリーニングのための検査法
- 尿試験紙法: (1+)(ヘモグロビン 0.06mg/dL) 以上
- 尿沈査検査法: 5個 / HPF(400倍拡大1視野)以上
- FCM法(無遠心尿): 20個 / μL 以上
- 血尿の疫学
- 顕微鏡的血尿の診断
- 肉眼的血尿の診断
- 学校検尿における顕微鏡的血尿患児の診断
- 血尿の定義とスクリーニングのための検査法
- 血尿診断のポイント
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- 原則的に中間尿採取を行い、早朝尿・随時尿などの尿の種類を明記する
- 血尿診断の注意点
- 肥満患者や包茎の男性患者でcontaminationの可能性あり
- 女性の場合は、外尿道口や膣の所見も重要.(生理、性行為、膣疾患などで陽性を呈することが多く 再検で陰性であれば精査不要)
- 尿路感染のある患者は、治療後6週で血尿が消失していれば、それ以上の検索は不要である
- 健診受診者に認められた尿潜血反応(1+)以上の頻度(18~80歳以上 107,192人):男性:3.5% 女性:12.3% 概ね3-5%に血尿が発見されるとすれば日本人において500万人に相当する
- Highly significant lesion(生命にかかわるもの腎尿路悪性腫瘍、糸球体腎炎など)
- 無症候性顕微鏡的血尿1,034例の観察中Highly significant lesionの割合;30例(2.9%)
- リスクファクター: RBC50/HPF以上 肉眼的血尿
- 顕微鏡的血尿の長期経過観察(10-20年):78%の患者が依然顕微鏡的血尿を認める。泌尿器科癌に発展した症例はなかった。
- 尿路上皮腫瘍のリスクファクター:
- 40歳以上の男性
- 喫煙歴有り
- 特定のNSAIDS(フェナセチン)やシクロフォスファミドなどの長期使用
- 肉眼的血尿
- 泌尿器科疾患の既往:排尿症状、尿路感染症
- 骨盤放射線照射既往
- 職業的化学物質(アリルアミン)への曝露
- 顕微鏡的血尿の取り扱い:
- 尿検査、血液検査、尿細胞診、腎・膀胱超音波検査 によるスクリーニング
- 内科的腎疾患と泌尿器科的疾患の鑑別
- 各専門家による精査
- 経過観察する場合は、3年間は厳重にfollow upする.
- タンパク尿を合併する場合は、腎炎を念頭におき10年以上注意深く観察する
- 尿細胞診感度:
- 感度は40~76%洗浄細胞診の方が感度が高い
- 高分化癌では陰性となることが多い
- Class 3の患者の15%にmalignancyあり(3以上:膀胱鏡検査必須)
- 早朝尿での尿細胞診を3日間行うことで膀胱癌の検出率は高まる
- 肉眼的血尿の取り扱い: 腎尿路の悪性腫瘍を中心に、種々の泌尿器科的検査を駆使して、診断を確定する
- 文献
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- Iseki K et al: Risk of developing end-stage renal disease in a cohort of mass screening. Kidney International 49: 800-805, 1996
- Mariani AJ et al: The significance of adult hematuria: 1,000 hematuria evaluations including a risk-benefit and cost-effectiveness analysis. J Urol 141: 350-355, 1999
- Murakami S et al: Strategies for asymptomatic microscopic hematuria: a prospective study of 1,034 patients. J Urol 144: 99-101, 1990
- Howard RS et al: Long-term followup of asymptomatic microhematuria. J Urol 145: 335-336, 1991
- 血尿診断ガイドライン HP掲載:東邦大学医学メディアセンタ-
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/mmc/guideline/index.htm