胆嚢良性疾患(胆石ほか)
胆嚢良性疾患(胆石症、胆嚢ポリープ)
胆嚢摘出術の年間手術件数は約 90 例。術式の内訳は 80 ~ 90 %が腹腔鏡手術、残りは開腹手術になります。
主な原因疾患は胆嚢結石、胆嚢ポリープになります。
胆石症
胆石症といってもさまざまな状態があります。
- 無症候性胆嚢結石
症状は全くないが、検診などで指摘。症状がなければ経過観察でもかまわないですが、石が多数存在していたり充満している場合や、ある年齢以上(一般的には70歳以上、女性に多いといわれています)では、胆嚢癌の可能性もありうるため、手術をお勧めしています。 - 急性胆嚢炎
食後数時間後におこり、右上腹部の痛みと発熱があります。胆嚢内の石が、胆嚢の入り口にはまり込んで、胆嚢が腫れあがる状態になります。程度によって治療が変わりますが、軽い場合は絶食・抗生剤治療、きつい場合には緊急手術になることもあります。 - 総胆管結石・胆管炎
症状は発熱、腹痛、黄疸があります。胆嚢内の石が、胆汁と一緒に流れ出し、十二指腸への出口で引っかかった場合、このようなことになります。通常、内科的な処置(内視鏡的乳頭切開術)を受けていただいた後、落ち着いてから手術で胆嚢摘出を行います。
胆嚢ポリープ
症状はないですが、 1 cmを越えた場合、がんのリスクがありますので手術をお勧めします。
- ●検査
外来通院での検査、または検査のための短期入院で行います。
血液検査
腹部エコー
腹部造影CT
MRI
DIC(造影剤を点滴後、CT撮影し、胆嚢や胆管の走行を見ます)
胃カメラ - ●手術
腹腔鏡下胆嚢摘出術は 1990 年より本邦で取り入れられた術式ですが、最近では全国各施設で取り入れられるようになった一般的な手術方法です。
腹腔鏡下手術の場合、傷は臍下とみぞおちに 1 cm、右わき腹に 5 mmの傷が 2 ヶ所できますが、術後の痛みは軽く、ほとんどの患者様は翌日より歩かれ、食事も翌朝診察後から始めていただいています。
開腹手術は、腹腔鏡からの開腹移行(高度な炎症、がんの合併、出血などで、腹腔鏡手術のうち約 5 %)の場合と、術前の検査結果により始めから開腹手術にさせていただく場合の2パターンあります。
腹腔鏡手術が主流になりつつある時勢ですが、いずれの場合も、安全性を重視した上での選択を取っています。
開腹手術の場合は、入院が長引くと思われがちですが、最近では術後の痛みのコントロールをとるため、麻酔科担当医により硬膜外麻酔をしたり、点滴の痛み止めも積極的に使うことで、腹腔鏡手術とさほど変わらない期間で歩いていただけたり、食事もしていただいています。
入院期間は順調にいけば、腹腔鏡の場合だと最短で 3 日、平均 1 週間、開腹手術でも約 1 週間で退院が可能です。