胆道がん(胆嚢がん、胆管がん)
概要
解剖学的な複雑さから、最近まで発展途上であった分野がこの「肝胆膵外科」です。
高度な技術が必要である手術が多く、必然的に手術時間も長時間に及ぶものがほとんどです。
当院では、肝胆膵外科に特化したスタッフによる高度な医療を提供する病院として、日本肝胆膵外科学会から修練施設Aに認定されています。極めて厳格な認定基準であるため、2015年4月現在、A認定の施設は、京都では当院を含めた、京都大学附属病院・京都府立医大附属病院の3病院だけです。
当科では、京都における肝胆膵外科の中心的な病院として、それぞれの疾患に対してエビデンスに基づいた治療方針アルゴリズムを作成し、方針に従った過不足のない診療を行っています。なお、最近では腹腔鏡による手術も積極的に取り入れており、保険診療内でその適応を広げています。
肝外胆管癌
- 肝外胆管は胆嚢・十二指腸・膵臓に囲まれて存在するため、外科的切除にはこれらの臓器および周囲のリンパ節を併せて摘出する「膵頭十二指腸切除術+領域リンパ節郭清」が必要となります。下記アルゴリズムに示す通り、当科では積極的な外科切除を行っています。
- 術後の抗癌剤の是非に関しては結論が出ていません。ただし、リンパ節転移が陽性であった患者さんは術後早期に再発することがよく知られていますので、この場合は術後に抗癌剤を半年間内服していただくようお勧めしています。
十二指腸乳頭部癌
【十二指腸乳頭部癌】十二指腸乳頭部(胆管・膵管の十二指腸合流部)に発生する癌です
- 肝外胆管と同様、胆嚢・胆管・十二指腸・膵臓に囲まれて存在するため、外科的切除にはこれらの臓器および周囲のリンパ節を併せて摘出する「膵頭十二指腸切除術+領域リンパ節郭清」が必要となります。
- 術後の抗癌剤の是非に関しては、十二指腸乳頭部癌でも結論が出ていません。ただし、リンパ節転移が陽性であった患者さんは術後早期に再発することがよく知られていますので、この場合は術後に抗癌剤を半年間内服していただくようお勧めしています。
胆嚢隆起性病変・胆嚢癌
- 胆嚢内に石ではない、「できもの(腫瘤性病変といいます)」ができることがあります。小さいものは特に治療を有しませんが、統計学的に、大きさ1cmを超える腫瘤性病変の20%強に癌が検出されるといわれていますので、当科では1cmを超える胆嚢腫瘤性病変に対しては手術を行っています。基本的には腹腔鏡による胆嚢摘出術を行いますが、明らかに癌が疑わしい場合は開腹手術による胆嚢摘出術を行います。
- 検査で明らかに胆嚢癌が疑われる場合、当科で作成した下記のアルゴリズムに従って治療を行っています。癌の進行度に応じた術式を選択し、過不足のない手術を心掛けています。
- 胆嚢は通常の消化管と比較して壁が薄いため、胆嚢癌は通常の癌よりも進行が早いことが知られています。また、周囲に重要な臓器(肝臓・胆管・十二指腸・膵臓)が近接しているため、大きな手術が必要な場合があります。そのため、術式は癌の進行度合いにより様々であることから、肝胆膵外科専門の病院で治療を行うことをお勧めします!
これらの疾患に関してお悩みの方、相談をしたい方は当科外来
(電話;075-641-9161(代表))
にお気軽にご相談ください。