京都医療センター

眼科

眼科について

  • 眼に関する様々な疾患(白内障、網膜硝子体疾患、緑内障、角膜疾患、視神経疾患、眼瞼疾患、涙道疾患など)についてみています。
  • 特に白内障、緑内障、網膜硝子体疾患については最新の治療や手術を積極的に取り入れ、なるべく眼に負担が少なく安全な治療を目指しています。
  • 地域の開業医、診療所、病院と積極的に医療連携を行います。

目の病気

眼科では眼やまぶたに関わる病気を診ています。私たちが物を見る時には物の色や形が光として眼の中に入り、角膜、水晶体、硝子体を通過して網膜に届き、網膜で電気信号に変換され視神経へ伝わり脳へと変換されます。このうち1カ所でも障害が生じると見えにくさの原因となります。
例えば角膜が障害される病気として角膜感染症や円錐角膜、水晶体が混濁する病気として白内障、硝子体が混濁する病気として硝子体出血やぶどう膜炎、網膜が障害される病気として加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、網膜前膜、黄斑円孔、網膜剥離、視神経が障害される病気として緑内障や視神経炎、脳腫瘍などがあります。
また子供では8~10歳まで視機能が発達するとされていますが、それまでの時期に網膜にはっきりとした像が得られないと、大人になっても視力が出ずに弱視となることがあります。原因としては屈折異常や斜視、不同視が多く、眼科で処方された適切な眼鏡装用や健眼遮閉、斜視治療が必要になります。

手術について

手術が必要な疾患については、眼や体の状態などに応じて日帰り手術、入院手術とも対応しております。原則局所麻酔での手術ですが、局所麻酔での手術が困難な場合は麻酔科と連携して全身麻酔での手術をさせていただきます。手術日は月曜・水曜です。

白内障手術

当院での白内障手術はなるべく眼に負担のないよう、2.4mmの小切開、低侵襲、安全な手術を心がけています。難症例(進行した白内障、揺れている白内障、角膜混濁のある白内障など)にも対応しております。
不正乱視ではない正乱視の方については積極的に乱視矯正眼内レンズを選択しております。
当院では多焦点眼内レンズも採用しております。眼鏡なしで遠くも近くも見えるようになりたい方が適応となります。ただし通常の単焦点眼内レンズと比較して眼の中に入ってきた光を複数に振り分けるため、見え方の質が劣ってしまう可能性(コントラスト感度の低下、ハロー、グレア、夜間の羞明など)があります。また角膜疾患や網膜疾患、緑内障、小瞳孔、非常にご高齢の方などは見え方の質がさらに劣ってしまうため非適応となることがあります。適応や費用、見え方など詳しくは担当医とご相談ください。
白内障の他に緑内障も合併しており、緑内障点眼を使用して眼圧コントロールが良好な方は、白内障手術と同時に侵襲の少ない緑内障手術(iStentなど)を併施することで、手術後の緑内障点眼を減らせる可能性があります。こちらも詳しくは担当医とご相談ください。

緑内障手術

緑内障では見えている範囲(視野)がこれ以上狭くなっていかないように、眼の圧力(眼圧)の下げることが必要です。眼圧を下げるためにまずは目薬やレーザーを行いますが、それでも見えている範囲が狭くなっていく場合は手術を選択します。緑内障手術はあくまで眼圧を下げて今後のさらに見えにくくなることを抑える手術ですので、白内障手術と違い見やすくなる手術ではありません。
当院では白内障手術と同様に可能な限り低侵襲な緑内障手術を心がけています。
比較的眼圧が良好な白内障・緑内障の方にはiStent、眼圧が高くて見えている範囲が狭くなってしまった初期・中期の緑内障の方には低侵襲緑内障手術(マイクロフックロトミー、スーチャートラベクロトミーなど)、眼圧が高くて見えている範囲がかなり狭くなってしまった中期・後期の緑内障の方にはやや侵襲が大きいですが眼圧下降効果の高いプリザーフロマイクロシャントやトラベクレクトミーを行っています。アーメド緑内障バルブ手術に関しては現在施設認定待ちのため、まだ当院では行っていません。トラベクレクトミーに関しては術後の眼圧管理が非常に大切ですので、1-2週間の入院を原則としております。またこれまで緑内障の目薬で眼圧が下がっているものの、目薬のせいで目がかゆくなったり荒れたり、なかなか目薬がさせないといった方も手術することで目薬が大幅に減らせられる可能性がありますので担当医師とご相談ください。

網膜硝子体手術

硝子体手術とは眼の硝子体と呼ばれる組織を除去し、網膜硝子体の病気を治す手術です。ガムをティッシュペーパーから剥がすようなイメージのとても繊細で難しい手術に分類されます。網膜前膜、黄斑円孔、硝子体出血、裂孔原性網膜剥離、増殖性糖尿病網膜症、水晶体亜脱臼、眼内レンズ亜脱臼などが適応となります。
手術では0.5mm以下の小さな穴を3-4カ所開け、そこから細い器具を眼内に挿入し硝子体を切除して網膜病変の治療を行い、手術終了時に眼内を水、空気、ガス、シリコーンオイルのいずれかに置き換えます。術後症例によっては1週間程度の体位制限が必要です。
当院では硝子体術者が常勤でおりますので、緊急手術が必要な裂孔原性網膜剥離や眼内炎、眼外傷、術中水晶体落下などいつでも対応しております。また非常に難しい症例(増殖性糖尿病網膜症、増殖性硝子体網膜症、重症の穿孔性眼外傷など)については京都府立医科大学とも連携して治療・手術にあたらせていただきます。

その他の手術

結膜疾患(翼状片、結膜弛緩症、眼窩脂肪ヘルニアなど)、眼瞼疾患(麦粒腫、霰粒腫、眼瞼腫瘤、眼瞼下垂、内反症など)、涙道疾患(鼻涙管狭窄、涙小管炎など)の手術治療が可能です。角膜疾患や斜視、難治の眼瞼・涙道疾患で手術が必要な場合は京都府立医科大学とも連携して治療にあたります。

※保険適応外の近視矯正手術やICL(眼内コンタクトレンズ)、オルソケラトロジー、美容形成手術は行っておりません。

検査について

視野検査

視野検査は完全予約制です。

小児・学童の視機能検査

小児・学童の視機能検査は完全予約制です。小児・学童は調節力が強いため、小児の眼鏡処方では原則として調節麻痺点眼を1週間前から点眼していただきますので検査の前後1-2週間はまぶしくなったり見えにくくなったりします。

眼鏡処方

矯正視力が良好な方(眼鏡やコンタクトレンズを装用して視力が1.0近くある方)は眼科の眼鏡処方箋無しで直接眼鏡店での作成をお勧めしています。眼鏡処方は完全予約制です。

コンタクトレンズ処方

当院でのコンタクトレンズ処方は、角膜疾患に対する治療用コンタクトレンズが対象です。
一般の屈折矯正用コンタクトレンズ処方はお近くの眼科でお願いします。

網膜電図(ERG)

網膜電図(ERG)検査は予約制です。多局所ERGも検査可能です。

色覚検査

当院での色覚検査は石原色覚検査表や標準色覚検査表によるスクリーニングとパネルD15による程度判定が可能です。
※100 hue test、ランタンテストによる程度判定、アノマロスコープによる確定診断は当院では施行しておりません。