最新医療
ロボット支援手術
今日さまざまな領域の外科手術手技において、従来の開腹手術は内視鏡を用いる低侵襲手術へと変換されつつあります。内視鏡を用いる低侵襲手術の利点は、より早い術後の回復および経口摂取、より短い入院期間、術後疼痛の軽減、美容上の美しさ、そして医療費用の削減などが挙げられます。
手術支援ロボット ダビンチ(da Vinci surgical system)は米国で開発された手術支援ロボットです。欧米を中心に早くから医療機器として認可され、1997年より臨床応用され、日本でも2009年11月に国内薬事承認されました。
本術式の利点は以下の通りです。
- 人間の目よりはるかに自由に見たいところを見ることができます。
- 3次元(立体)画像で手術が行えます。
- 人間の手首以上の可動域があります。
- 手ぶれがありません。
- 従来の手術より更に正確で緻密な手術が可能となり手術成績のさらなる向上と標準化が期待されます。
京都医療センタ-におけるロボット支援手術は 2014年8月に 京都府内5施設目 京都市内4施設目として早くに開始されました。さらに2019年7月には ダビンチSシステムから第4世代のXシステムに更新。そして今回2022年7月には XシステムからXiシステム及び連動ベッド(インテグレーテッド テ-ブルモーション)を導入しました。
第4世代 (da Vinci Xi) のシステム構成
左から ペイシェントカート・ビジョンカート・サ-ジョンコンソ-ル
これにより1つのカート位置から高い自由度でアームを位置決めできるため、レイアウトを都度変更する多術式、多診療科利用の手術室においても効率的な配置と運用が可能となりました。
泌尿器科における前立腺がん手術(RARP)も従来載石位で施行していたものが仰臥位での施行が可能となり 患者さん及び医療従事者の負担軽減にも寄与しています。
また、手術テ-ブルモーション機能により 手術を中断せずに体位を変え、重力を利用した臓器の圧排、術野とアクセスを常に適切に保つことがサポ-トされるようになりました。
当院としてはこのXiシステムを導入することにより、さらに精度を高め、より確実でより安全な手術を実現し、患者さんに満足の得られる技術の向上を目指しています。
3機種目の更新になったことは様々の機種の特性を理解し最大限にその利点を活用できることは我々の強みでもあります。
日本におけるロボット支援手術の保険適応は2022年度にさらに多くの術式(肝臓がん 咽頭がん 喉頭がん など)が適応拡大され、今やロボット支援手術は標準術式になりつつあります。
当院は早くからロボット支援手術を開始しほとんどの術式は保険診療で治療を受けることが出来ます。また医療安全面でも細心の注意を払っています。
現在 前立腺がん 腎臓がん 膀胱がん(泌尿器科) 良性子宮腫瘍 子宮体がん 骨盤臓器脱(婦人科) 胃がん 大腸がん(外科)、肺がん 縦隔腫瘍 (呼吸器外科)を対象に手術を行ってきましたが、2022年8月から 肝臓がん(外科)の治療を開始、近く 咽頭がん 喉頭がん(耳鼻咽頭科 頭頸部外科)の治療も開始される予定です。
主な手術は下記の通りです。
- 胃がんに対するロボット支援下胃切除術
- 直腸がんに対するロボット支援下直腸手術
- 肝臓がんに対するロボット支援下肝切除術
産婦人科領域
- 子宮体がんに対するロボット支援腹腔鏡下子宮全摘と骨盤リンパ節郭清
- 子宮腫瘍(子宮筋腫など)に対するロボット支援腹腔鏡下子宮全摘
- 骨盤臓器脱に対するロボット支援腹腔鏡下仙骨腟固定術
呼吸器外科領域
- 肺悪性腫瘍(肺がんなど)に対するロボット支援胸腔鏡下肺葉切除術・肺区域切除術
- 良性・悪性縦隔腫瘍に対するロボット支援胸腔鏡下縦隔腫瘍切除術
- 重症筋無力症に対するロボット支援胸腔鏡下拡大胸腺摘出術
泌尿器科領域
- 前立腺がんに対するロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘
- 腎臓がんに対するロボット支援(腹腔鏡下)腎部分切除術
- 膀胱がんに対するロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘
- 腎盂尿管移行部狭窄症に対するロボット支援腹腔鏡下腎盂形成手術
詳しくは各診療科の主な担当者にお尋ねください。
外科
婦人科
産科婦人科科長
あびこ かおる
安彦 郁
呼吸器外科
呼吸器外科医師
かく りょうすけ
賀来 良輔
泌尿器科
頭頸部外科
頭頸部外科医長
あさと りょう
安里 亮