国立病院総合医学会





医療安全管理部

患者安全の確保、医療の質の担保と向上への取り組みは、急性期基幹病院である当院において最も重要な課題であり、安全文化の醸成は医療教育機関としての責務である。これらの課題、責務を達成するために医療安全管理部が活動している。院内に医療安全管理室を設置し、各部署に医療安全推進担当者(リスクマネージャー)をおいて医療安全管理体制を整備している。医療安全管理委員会、リスクマネージャー会議などの定例会議を主催するとともに、随時オカレンス症例検討会、ハイリスク診療検討会などを開催している。また、電子化した報告システムによりインシデント・アクシデント事例を収集し、個々の事例に対応するだけでなく、マニュアル等の定期的な見直しを行い、医療安全管理体制の強化充実を図っている。院内で共有すべき情報については積極的に情報発信を行い、スタッフ教育にも力を注いでいる。医療事故調査制度がスタートしてから3年3ヶ月が経過しており、当院で生じた死亡症例についてはモニタリングし、迅速かつ適切に事例の収集と検討が可能となるシステムが整備された。これらの取り組みを通じて、医療に伴って発生する様々な危険や有害事象をモニターし、調査、分析して医療に反映させること、重大な有害事象に対して病院をあげて迅速に対応すること、スタッフ教育や院内システムの改善に役立てることを目標としている。

活動内容

1.医療安全管理体制

  1. 構成メンバー
    • 医療安全管理部長 1名
    • 医療安全管理副部長 1名
    • 医療訴訟専門職 1名
    • 医療安全管理係長 1名
    • 看護部医療安全担当副看護師長:1名
    • 医療安全推進担当者(リスクマネージャー)各部署から1名 計58名

2.医療安全に関する日常活動

  1. 医療安全に関する院内の情報収集及び実態調査(定期的な院内の巡回・点検、マニュアルの遵守状況の点検)
  2. マニュアルの作成及び点検と見直しの提言等
  3. インシデント・アクシデントレポートの収集、保管、分析、具体的な改善策の提案、分析結果の現場へのフィードバックと集計結果の管理
  4. 医療安全に関する最新情報の把握と職員への周知
  5. 医療安全に関する職員への啓発、広報
  6. 医療安全に関する教育研修の企画・運営
  7. 医療安全対策ネットワーク整備事業に関する報告
  8. 医療安全管理に係る連絡調整に関すること

3.業務実績

  1. 医療事故に関する会議開催状況 (平成30年度)
    1. 拡大医療安全管理委員会  1件
    2. 医療事故本部対策会議   1件
    3. オカレンス事例検討会議  16件
    4. ハイリスク診療検討会議  7件
  2. マニュアル、ガイドラインの作成・改訂
    • 中心静脈カテーテル運用マニュアル(2012年)
    • インスリン指示に関するテンプレート整備(2017年)
    • ロヒプノール院内使用指針(2014年)
    • 事故防止対策マニュアル(2014年改訂)
    • 抗血栓薬の適正使用と周術期の取り扱いに関するガイドライン(2017年改訂)
    • 院内転倒時の頭部打撲対応(2016年)
    • 深部静脈血栓症・肺塞栓症の予防対策ガイドライン(2016年改訂)
    • 医療安全管理マニュアル(2016年改訂)
    • 医療事故防止マニュアル(2019年改訂)
  3. インシデント・アクシデントレポート収集
    • 平成30年度報告件数    3323件
      インシデント3129件
      アクシデント194件
  4. 平成30年度 緊急コール件数
    ドクターハートコール:30件
    METSコール:12件
    ホワイトコードコール:5件
  5. 医療安全に関する活動及び情報提供
    • 医療安全管理委員会 1回/月 計12回
    • リスクマネージャー会議 1回/月 計12回
    • 診療科長会議、医局会、管理診療会議での情報提供
    • 事故事例の情報発信等 
    • 医療安全カレンダー作成、配布
    • 各部門カンファレンス・検討会等参加
  6. 医療安全に関する教育研修
    1. 医療安全研修会
      第1回「全職員で取り組む医療安全」  外部講師      平成30年5月25日開催
      第2回「みんなで知ろう!各部署における医療安全の取り組み」平成31年1月23日開催
    2. 医療事故防止研修会 計7回開催
      開催日 <テーマ>
      平成30年 7月18日 糖尿病の薬物療法の基礎知識とリスクマネジメント
      インスリンを正しく理解しエラーを防ぐ~管理から投与まで~
      平成30年 7月25日 インスリンの取り扱い・指示出しをもう一度振り返る
      平成30年 9月 6日 個人情報保護
      平成30年 9月12日 院内・院外でも役立つ急変時対応
      平成30年11月19日 気管切開チューブの安全管理
      平成31年 2月25日 知らないではすまされない!麻薬の管理
      平成31年 3月 7日 心電図モニタの安全管理
    3. 医局会において「医療安全アップデート」として10テーマについて情報発信
      開催日 <テーマ>
      平成30年 4月20日 アスピレーションカテーテル固定方法の統一
      平成30年 5月18日 オカレンス事例検討、同意書の重要性
      平成30年 6月15日 カルテ記載、特に理学所見の記載について
      平成30年 7月20日 死亡症例報告の意義と提出状況
      平成30年10月19日 気管切開チューブの逸脱、迷入について
      平成30年11月16日 院内圧縮空気圧の低下と対処
      平成30年11月16日 死亡事例報告について
      平成30年12月21日 麻薬事故多発
      平成31年 1月18日 インフォームドコンセントについて
      平成31年 2月15日 心電図モニタ管理について
  7. 医療安全に関する講義
    新採用者研修、看護助手等採用時研修、幹部看護師任用候補者研修、看護学校講義
    医療安全管理研修、スペシャルメディカルクラーク研修  等
  8. 平成30年度学会発表
    1. 第71回 国立病院総合医学会(神戸コンベンションセンター)3題
      『医療事故調査制度に対応する院内体制整備とその効果』
      口述:白神 幸太郎
      『転倒・転落防止対策への取り組み~ピクトグラム導入後の現状と効果~』
      ポスター:塩 早苗
      『CT画像診断の見落とし対策』
      ポスター:北野 朋子
    2. 近畿地区国立病院 第60回 看護学会(大阪国際交流センター)1題
      『転倒・転落防止対策への取り組み~ピクトグラム導入後の現状と効果~』
      口述:北野 朋子