当院のご案内

展開医療研究部/生命情報科学研究室

概要と特色

当研究室では手術・麻酔や救急・集中治療領域などの、生体に強い侵害刺激が加わった際の病態生理の把握、それに対する治療法の検討などを対象として研究を行っています。

手術に際しては日常生活では通常経験することのない強い侵襲刺激(ストレス)を受けるため生体は様々な反応を示します。いわゆるストレス反応は本来生体を守るための生理的反応ですが、ストレス刺激が強いと過剰な反応になりかえって生体に危害を及ぼすことになります。またこのようなストレス反応には内分泌系が大きく関わっているため内分泌疾患を持つ患者ではその反応は正常とは大きく異なります。糖尿病や肥満などの代謝性疾患やそれに伴う高血圧症などは、全身の生体調節機能に障害をもたらすため、手術のリスクを高めることはよく知られています。今後これらのリスクのある方々の手術がますます増加することは間違いなく、その周術期管理がより重要となってきます。当研究室では、周術期における侵襲刺激に対する生理的反応とその制御に関する研究を行っています。たとえば術直後によく見られるシバリング(震え)に対して、フルルビプロフェンアキセチルを術中に事前投与することで予防できることを見出しました。また、侵襲刺激に対する抑制の程度と術中の血糖との関係についても調べています。今後とも、より安全で質の高い周術期管理をめざし、研究を進めていきたいと考えています。

手術室管理部長 七野 力(しちの つとむ)

現在 当院にて下記のような臨床研究を京都大学救急医学講座と共同に 多施設前向き研究として実施中です。

外傷性軽度脳損傷後の認知機能障害の発生に対する研究

研究の目的
外傷性軽度脳損傷(Mild traumatic brain injury: MTBI)の患者に対し、多施設で前向きに、急性期および慢性期の認知機能障害の有無を調査し、認知機能障害の発生頻度およびその発生因子を評価する。
研究の背景、意義

  • CDC(Centers for Disease Control and Prevention)による2003年の報告によると、全米で生じる年間150万件以上の頭部外傷のうち75%以上にMTBIを生じており、MTBIに生じる医療コストは年間170億ドルといわれている。
  • 一方、MTBIは急性期における頭蓋内損傷、骨折等にとどまらず、長期間遷延する認知障害(cognitive disorder)などの高次脳機能障害等を励起することが報告されているが、その発生頻度や既定因子についての詳細な検討は少ないのが現状である。
  • 本試験は標準的な認知機能評価であるMini-Mental State Examination (MMSE) ・The Frontal Systems Behavioral Scale (FrSBe)・trail-making test・三宅式記銘力検査・言語流暢性検査を用い、MTBI後の患者における急性期および慢性期の認知機能評価を行い、MTBIに伴い生じる長期間遷延する認知障害の発生頻度およびその規定因子を評価することを目的として計画された。
生命情報科学研究室・救急救命センター 中野 良太

NHOネットワーク共同研究

「消化器外科緊急手術症例における術後死亡予測モデルCORES、NSQIPの比較検証試験」について

 

過去の業績

Sahoko Koyanagi, Shugaku Himukashi, Kumiko Mukaida, Tsutomu Shichino, Kazuhiko Fukuda: Dopamin D2-like receptor in the nucleus accumbens is involved in the antinociceptive effect of nitrous oxide. Anesthesia and Analgesia 2008; 106: 1904-1909
Kumiko Mukaida, Tsutomu Shichino, Sahoko Koyanagi, Shugaku Himukashi, Kazuhiko Fukuda: Activity of the serotonergic system during isoflurane anesthesia. Anesthesia and Analgesia 2007; 104: 836-839
Kumiko Mukaida, Tustomu Shichino, Kazuhiko Fukuda: Nitrous oxide increases serotonin release in the rat spinal cord. Journal of Anesthesia 2007; 21:433-435
Shugaku Himukashi, Hiroshi Takeshima, Sahoko Koyanagi, Tsutomu Shichino, Kazuhiko Fukuda: The involvement of the nociceptin receptor in the antinociceptive action of nitrous oxide. Anesthesia and Analgesia 2006; 103: 738-741
Gotaro Shirakami, Yuriko Teratani, Hajime Segawa, Shogo Matsuura, Tsutomu Shichino, Kazuhiko Fukuda: Omission of fentanyl during sevoflurane anesthesia decreases the incidences of postoperative nausea and vomiting and accelerates postanesthesia recovery in major breast cancer surgery. Journal of Anesthesia 2006; 20: 188-195
Shugaku Himukashi, Yoshiya Miyazaki, Hiroshi Takeshima, Sahoko Koyanagi, Kumiko Mukaida, Tsutomu Shichino, Hisatoshi Uga, Kazuhiko Fukuda: Nociceptin system does not affect MAC of volatile anaesthetics. Acta Anaesthesiologica Scandinavca 2005; 49: 771-773
古谷 秀勝、七野 力、福田 和彦:Awake Craniotomyの麻酔管理の実際と問題点−当院での症例経験を中心に神経麻酔・集中治療 2009:17-19
七野 力:麻酔科研修におけるTIVA/TCI教育の意義 市中病院の立場から 日本臨床麻酔学会誌 2007 : 27 : 640-643

 

 

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