京都医療センター

臨床工学科

臨床工学科

医師や看護師、院内スタッフとの緊密な連携を図り、Medical Engineeringのスペシャリストである臨床工学技士として、すべての患者さんに安全かつ高度な医療を提供していきます。

特色・取り組み

  1. 生命維持管理装置の操作およびそれらの機器を含めた院内にある医療機器の修理・保守点検を行い、患者さんに安全かつ高度な医療サービスを提供できるよう日々研鑽に努めています。
  2. 効率的な医療機器の運用を行うため、機器の選定・購入から廃棄に至るまでの医療機器の管理を行っています。
  3. 臨床工学の体制は、15名(男10名 女5名)で、各業務を短期ローテーションで行っております。当直および夜間や休祝日、時間外等は24時間365日on call体制で対応しております。

業務内容

特定保守管理機器・高度管理医療機器が多数使用されている手術室・透析室・NICU・救命救急センター・集中治療室・心臓カテーテル室などで主に業務を行っています。

血液浄化業務

血液浄化業務

当院の透析室は8床で、月曜から金曜まで毎日2クールで稼動しています。主に、血液透析導入目的の患者さんや当院にご入院された維持透析患者さんの血液透析を中心に行っています。

当科の業務としては、患者さんのバイタルチェックや透析装置の精度管理・透析液の清浄化に加え、各種血漿交換、血液・血漿吸着などの特殊血液浄化療法も行っております。また、手術後などで透析室に来室できない患者さんへは、救命センター・集中治療室での出張透析も行っております。

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
透析件数 2540 2701 2636 2732 2493 2423 2436 1941 2311
血液浄化件数 447 522 396 344 387 319 204 306 340

人工心肺業務

心臓血管外科手術において心臓と肺を代行する人工心肺装置を操作し、手術中の全身の循環管理を行います。この他、心臓の拍動を停止させ心筋保護を行う心筋保護液供給装置、余分な水分や電解質を除去する血液濃縮器、術野から出血した血液を洗浄して返血する自己血回収装置、体温や心筋保護液の温度を調節する冷温水槽等の操作と人工心肺全般の操作記録を行っています。

当院では関連団体が認定する人工心肺等の体外循環装置を操作するための技術を有する能力をもつ「体外循環技術認定士」を4名が取得し安全に配慮しています。

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
症例数 49 55 54 43 50 42 44 37 44 40

手術室業務

手術室業務

手術室での臨床支援業務として、泌尿器科・外科におけるロボット手術であるダヴィンチ業務および術中自己血回収装置の操作、整形外科での神経誘発電位の測定、また、消化器科領域での肝臓の悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼装置の操作を行っています。

その他、麻酔器や内視鏡テレビシステム、手術用マイクロ顕微鏡、電気メスなど、手術室にある様々な機器のトラブルに対応しています。

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
RFA - 43 98 40 55 55 64 57 29 18
SEP/MEP - 141 171 246 235 124 138 142 117 130
ダヴィンチ - - - 37 59 57 83 123 133 150

心臓カテーテル室業務

診断カテーテル検査時、ポリグラフの操作を中心に、PCI(冠動脈形成術)時にはIVUS(血管内超音波)、OCT(光干渉断層図法)の操作、緊急時のIABP(バルーンカテーテル)、PCPS(心肺補助装置)等の操作を行っています。また、電気生理学的検査やアブレーション時には、スティミュレイター・アブレーターなど機器の操作を行っています。

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
CAG - 724 699 645 659 659 509 499 481 588
PCI - 322 288 323 288 270 259 256 233 282
ABL - 12 10 51 79 69 100 105 63 67

ペースメーカー関連業務

循環器内科医師と連携し、プログラマーの操作やペースメーカーの移植術、病棟での動作チェック・設定値の確認等を行っています。

月2回のペースメーカー外来に参加し、動作チェック・設定確認を行っています。また、ペースメーカーを植え込まれている患者さんの手術に臨床工学技士が立ち会い、術後、手術によるペースメーカーへの影響の有無をチェックしています。

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
外来件数 738 698 628 605 633 630 635 622 661
手術件数 41 36 48 48 64 61 52 56 50

人工呼吸器業務,RST

救命救急センター・集中治療室や各病棟にて、人工呼吸器や生命維持管理装置を装着された患者さんを中心に毎日ラウンドを行い、患者さんのバイタルや機器の動作状況のチェックを行っています。また、医師からの呼吸器設定や機能に関する質問にも対応しています。
また、医師・看護師・理学療法士・臨床工学技士・事務員で構成されるRespiratory Support Team(呼吸療法サポートチーム) に参加しています。

【活動内容】

診療支援
週1回、人工呼吸器装着患者さんの回診
標準化 :
マニュアル作成・呼吸関連デバイスの検討
教育  :
人工呼吸器・呼吸ケアに関する勉強会開催 RSTでは、酸素吸入から人工呼吸療法までの呼吸療法全般にわたり活動し、安全かつ適切な呼吸管理が実践できるようサポートしています。また、医療スタッフが、より質の高い呼吸療法が提供できるよう勉強会や講習等を開催しています。

医療機器管理業務

医療機器管理業務

医療機器の管理方法は、管理用ソフトを使用し、機器の貸出・返却や修理内容・メンテナンス等の情報をソフトに記載し、管理・把握しています。

輸液ポンプやシリンジポンプのような汎用性の高い医療機器に対しては、臨床工学科での中央貸出体制にし、毎使用後に適正なメンテナンスを行っています。その他の機器に関しては、その機器の特性に応じた点検スケジュールを組み、取扱説明書の内容に準じた点検・オーバーホールを行っています。

また、当院の特色として、院内電子カルテシステムのLAN配線を利用し、院内にある各電子カルテ端末から医療機器ごとの取扱説明書や技術資料をPDFファイルで閲覧できるシステム構築しています。

DMATへの参画

当院のDMATには、臨床工学技士が1名参加し、院内外においても幅広く活動しています。

  • DMATとは、「災害急性期(発生から48時間以内)に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義され、災害医療派遣チーム:Disaster Medical Assistance Teamの頭文字をとって「DMAT」と呼ばれます。

臨床工学技士が調整員(Logistic:ロジ)として活動し、医師・看護師が治療活動に専念できるよう、様々な調整を行っています。

研究活動内容

臨床工学分野や医療機器(特に生命維持管理装置)に関する基礎および臨床研究を行い、より安心安全な医療を提供できるよう日々研究を行っています。