卒業式
卒業式
いよいよ卒業です。18名誰一人欠けることなくこの日を迎えることができました。看護学科の在校生や保護者の方にも参加して頂き、コロナ前の規模の卒業式になりました。
「卒業生のことば」
~前略~
一年前の春の日に、私たちは助産師を目指し入学しました。助産師への憧れと期待に胸を膨らませた入学式を、昨日のことのように思い出します。
入学直後から専門的な学修が始まり、講義と並行して妊婦健診、分娩介助などの技術練習を、放課後や自宅でも行い、めまぐるしい日々を過ごしたのを覚えています。七月からは臨地実習が始まり、はじめて臨んだ出産現場では新しい命の誕生に感動しました。一方、赤ちゃんの心音が低下したり、急変場面ではただ見守ることしかできず、母児二人の命を預かる責任の重さを感じました。お産は刻一刻と変化し、瞬時の判断が求められます。自分は本当に助産師になれるのだろうかと不安な日々を過ごしました。そのようなとき、妊娠から分娩、産後まで継続して受け持つ妊婦さんに出会いました。お産がなかなか進まず、疲労と不安を訴える妊婦さんに、私はお産の状態をアセスメントし、順調に進むよう足浴や産痛緩和のマッサージを行い、そして、安心するよう声をかけ、そばに寄り添いました。母児ともに元気に出産された後、「あなたがいてくれたから頑張れた。素敵な助産師さんになってね」という言葉をいただきました。助産師としての根拠に基づく知識と技術を持ち、産婦さんに寄り添い、その人自身の力を引き出すことが、安全で満足なお産に繋がるのだと感じました。この経験により、助産師になるんだという私の思いはいっそう強くなりました。
秋には、学生が主体となって企画し、中高生を対象とする性教育、妊婦とご家族を対象とする出産準備教室を開催しました。どのように伝えれば興味を持ち、やってみようと思ってもらえるか、と前日までリハーサルを重ねました。本番は参加者の方々と共に楽しみ、助産師として支援のあり方を学び、全員で素晴らしい達成感を味わうことができました。
私たちは、全実習期間を通して、全員が九例以上、総数百七十二例の方の分娩介助を行い、実習を終えることができました。実習での対象者の方々との出会いはこれから助産師としての人生を歩み始める私たちにとってかけがえのない出会いであり貴重な経験です。
本日、私たちはこの学校を巣立ち、助産師としてそれぞれの道を一歩踏み出します。現在、わが国の年間出生数は八十万人を下回り、少子化が急速に進行しています。助産師として、将来の健やかな妊娠・出産のために、全ての年代の女性とその家族に寄り添い、きめ細やかな支援を行う役割が求められます。これからの社会に貢献できる助産師になれるよう日々精進してまいります。
私たちを受け入れてくださった対象者の皆様、本日ご臨席いただきましたご来賓の皆様、温かく、時に厳しく愛のあるご指導をくださった指導者の皆様に心より感謝申し上げます。助産学科で過ごした一年間は長いようで短く、楽しいことも辛いこともありましたが、先生方や同じ志をもつ仲間と支え合い、頑張ることができました。第五十五回生十八名全員が一丸となって最後まで進み続け、この日を迎えられたことを誇りに思います。また、この場をお借りして、小さな頃から助産師の夢を応援し、いつも暖かく見守り支えてくれた家族にも感謝の気持ちを伝えたいと思います。
~ 後略 ~
第55回生 卒業生代表