助産学科の概要

妊娠・出産・育児について主体的に取り組めるように、助産師が持つべき診断・実践能力と責任範囲から継続的に支援できる基礎的能力を養います。
看護学科からの内部推薦制度(一定の条件が必要)があります。当校では助産師国家試験受験資格および受胎調節実地指導員認定講習修了の資格を取得できます。

【アドミッションポリシー】(入学者受け入れ方針)

国立病院機構の病院を母体とする本校では、豊かな人間性と倫理観を備え、専門職業人としての責務を自覚し、生涯を通じて自己研鑽できる助産師を育成するために以下の能力を持つ人を求める。

  1. 助産師になる明確な動機と強い意思をもち、論理的思考と優れたコミュニケーション能力を有している人
  2. 看護の基礎的能力を有し、助産の専門的知識と実践能力を身につけるための自己学習能力の高い人
  3. 生命の尊厳に対する感性と倫理観をもち、責任をもった行動のできる人
  4. 感じ・考え・主体的に行動する力をもち、人との協働を通じて学び合うことができる人
  5. 生涯を通じて自己研鑽する姿勢をもち、助産師として国立病院機構及び社会に貢献しうる人

【教育課程編成の基本的な考え方】(カリキュラム・ポリシー)

助産は女性の生涯を通じて、人間の性と生殖に焦点をあて援助する活動である。
助産の対象は、ライフサイクル全ての女性と、妊娠・分娩・産褥・育児期にある女性と子どもおよびその家族である。生殖技術の進展、女性の社会進出とワークライフバランス、青少年の性行動の若年化、高齢・少子化等の社会変化が著しい中、助産師には女性が安心して子供を産み育てられるよう支援することが求められている。妊娠・分娩・育児に対する考え方や次代を育む母子や家族をよく理解し、性に関わる健康支援の担い手として、助産、健康相談・教育・支援活動を根拠に基づき診断を行い、助産師としての責任と倫理観の基に実践できることを強化する内容とする。
助産における実践は、生涯を通じて女性と子ども並びに家族の尊厳と権利を尊重し、対象の有する自然生理的な力を最大限に発揮し、健康的な生活が自律して行えるように関わることである。また、その実践過程においては他職種との連携と協働をすることによって、地域に根ざした母子保健サービスの提供が必要となる。教育の実施においては、看護基礎教育との重複を避け、「性」と「生殖」を中心とした実践から学ぶことに重点をおく。
この考えに基づき、専門的な知識・技術・態度の学習と共に心身を鍛え、積極性、創造性、柔軟性と助産師としての倫理観を養う。更には、和を尊び、感性を磨くことを旨とし、生涯にわたって自己啓発、自己研鑽できる専門性を身につけた職業人としての基盤が培われるように指導を行う。

【ディプロマ・ポリシー】(卒業認定に関する方針)

助産学科では、以下のような能力を身につけ、かつ所定の単位を取得した学生は、卒業(修了)が認定される。(助産師国家試験受験資格を与える)

  1. 助産師としての責務を自覚し、倫理観をもって責任ある行動ができる学生。
  2. 豊かな人間性と、専門知識を活用して分析・判断する力、主体的な行動力を培い、助産師としての基礎的な実践能力を有する学生。
  3. マタニティ・サイクルを中心に、女性の一生のリプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点で健康支援できる能力を有する学生。
  4. ハイリスク・高度化する周産期医療の中で、生涯にわたり自己研鑽できる姿勢を有する学生。

2019年度 助産学科 実務経験のある教員等による授業科目の一覧表

(独立行政法人国立病院機構京都医療センター)

NO. 授業科目名 授業単位等 実務経験等
単位数 時間数 職種名 実務経験
1 助産診断・技術学Ⅰ妊娠期 2 33 助産師 病院での助産業務
4 助産師 病院での助産業務
6 助産師 病院での助産業務
2 医師 病院での診療業務
2 助産診断・技術学Ⅱ分娩期 2 39 助産師 病院での助産業務
4 助産師 病院での助産業務
2 助産師 病院での助産業務
3 助産診断・技術学Ⅱ分娩期演習 1 11 助産師 病院での助産業務
4 助産師 病院での助産業務
4 助産診断・技術学Ⅲ産褥・新生児期 2 31 助産師 病院での助産業務
2 助産師 病院での助産業務
2 助産師 病院での助産業務
10 助産師 病院での助産業務
合計 7 150

教育カリキュラム

専門分野( 2 1 単位)

■ 助産学概論
■ 性と生殖の形態・機能
■ 母子の健康科学
■ 母性の心理・社会学
■ 乳幼児の成長発達
■ 助産学研究
■ 周産期の診断と技法
■ 助産診断・技術学Ⅰ妊娠期
■ 助産診断・技術学Ⅱ分娩期
■ 助産診断・技術学Ⅱ分娩期演習
■ 助産診断・技術学Ⅲ産褥・新生児期
■ 健康教育技法
■ 地域母子保健
■ 助産管理学

臨地実習( 1 1 単位)

■ 助産学実習Ⅰ妊娠期
■ 助産学実習Ⅱ分娩期  (分娩の取扱いを1人10回程度)
■ 助産学実習Ⅲ「産褥・新生児期」
■ 助産学実習Ⅳ「女性のライフサイクル」
■ 健康教育実習
■ 地域母子保健実習

 

教育の特徴 ~実践力が身につく教育方法の取り組み~

助産学科では臨床能力の確実な獲得を目指して、さまざまな教育方法にいち早く取り組んでいます。

取り組み1.助産の臨床推論教育

「分娩期の臨床推論学習プログラム」H24年~
分娩期の助産診断は核となる教育内容です。本校ではオリジナルの「臨床推論学習プログラム」を実施しています。このプログラムでは実習開始までに一定の臨床推論力の獲得を目指します。またグループ学習を通して臨床推論の学び方も身につきます。


分娩期の臨床推論学習プログラム(伊藤2012)

 
第1段階
知識整理
第2段階
臨床思考
第3段階
統合
第4段階
応用
時間
4H
2H
4H
2H
事例
正常分娩
分娩進行が早い
(経産婦の推論)
異常分娩
初産
1回経産
3回経産
初産
前期破水
早期破水
回旋異常
微弱陣痛
推論
初期診断
初期診断
仮説演繹推論
分娩進行
の判断
異常判断
場面
入院場面
電話場面
入院場面
電話~分娩
リアルタイム進行
入院~
分娩遷延
方法
グループ学習
シュミレーション
全体討議

 

<授業風景>

授業風景

<学生の声>

  • グループワークがこんなに楽しいと感じたのは初めて。
  • 内診所見は必ずしも教科書通りじゃない。所見から予測される分娩進行を見極められるようになりたい。
  • 診断の筋道の立て方がわかった。
  • リアルタイムのシミュレーションでイメージしやすくなった。
  • 何をすべきか、どう診断してケアをもっていくかイメージでき、実習への準備に役立った。
  • 助産診断がより正確になった。
  • 入院受入れから分娩まで一連を通してイメージできた。


取り組み2.OSCE:オスキー

OSCEは、判断力・技術力・マナーなど実際の現場で必要とされる臨床技能の習得を、適正に評価する方法として注目され、実習前や卒業前に行う教育機関が増えつつあります。 本校では、実習前に妊婦健診OSCE、卒業前に分娩介助OSCEを実施しています。助産実践能力を育成し、その到達度を教員・学生が相互に評価するOSCEに取組んでいます。

※OSCE:Objective Structure Clinical Examination(客観的臨床能力試験)

実習開始前:「妊婦健診OSCE」 H18年~
産科外来での助産師が行う妊婦健診場面を想定し、臨床推論を組み込んだOSCEを実施しています。模擬妊婦には臨床指導者も参加します。実習開始前の臨床能力を教員・学生相互が形成的に評価し、学校と臨床のシームレスな教育を目ざしています。

<OSCE風景>

OSCE風景

<学生の声>

  • 実施してみて臨床をイメージできてよかった。
  • 臨床の指導者さんの助言もいただいて、妊婦さんへの接し方として気をつけることなどが具体的に理解できた。
  • 大変緊張したが、実際の臨床の緊張感をもって行えたので良い経験になった。
  • 妊婦さんのお腹を触ったことがなく、このまま実習に出るのが不安だったので、やってよかった。


卒業前:「分娩介助OSCE」H19年~
卒業前に行う分娩介助OSCEは産婦の入院から分娩までの一連のケア実践能力の到達度を教員・学生が一緒に評価します。また、就職後の臨床現場を想定し、電話対応や入院の判断、リーダーや医師への報告・連絡・相談などの発展課題にチャレンジします。模擬産婦は学生が自分の実習事例の中から1例を演じます。終了後のリフレクションでは仲間とともに1年間の成長を実感しあい、多くの学びがあります。また、教員も学生の成長した姿から教え方を学ばせられます。

<OSCE風景>

OSCE風景

<学生の声>

  • OSCEを通して、自分の弱点を見つけられただけでなく、その弱点をどう修正していくか、どのように動けばより良く動けるかなど、みんなが意見をくれたのがよかった。
  • 卒業前OSCEを行うことで、自分の課題が明らかになり、実習前と比べて成長したことも感じられた。
  • 入職に対しての不安軽減につながった。
  • 自分ができないことが明確になり、リフレクションでどうすれば良かったか、しっかり振り返ることができ、まるで「11例目」をとったかのような気持ちになり、分娩1例とったくらいの学びを得ました。
  • 自己の助産観を感じられる演習となった。それがよかった。


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